はじめに:御社に「Excel職人」はいませんか?
経理や生産管理の現場で、複雑怪奇な数式やマクロを駆使して、魔法のように仕事を片付けるベテラン社員。周りは「神エクセルだ!」と称賛しますが、経営者の視点で見ると、これは「時限爆弾」以外の何物でもありません。今回は、頼もしいはずの職人芸が、なぜ経営最大のリスクになるのか、という少し怖いお話をします。
「野良Excel」=誰も手出しできないブラックボックス
問題の本質は、そのExcelの仕組み(ロジック)を理解しているのが、世界でその人ただ一人だという点です。これを「属人化(ぞくじんか)」や「シャドーIT」と呼びます。
もし明日、その担当者が急病で倒れたり、退職してしまったらどうなるでしょうか?「エラーが出たけど直せない」「計算が合っているか検証できない」。便利だったはずの道具が、一瞬にして業務を止める障害物に変わります。Excelは表計算ソフトとしては最強ですが、データとプログラム(計算式)が同じ場所にあるため、誤操作で壊れやすく、「作った本人しか守れない城」になりやすいのです。
「秘伝のタレ」を「誰でも作れるレシピ」へ
そこで私たちが推奨しているのが、Googleのノーコードツール「AppSheet(アップシート)」への移行です。AppSheetは、Excelやスプレッドシートを「データベース」として使い、その上に「アプリの画面」を被せる構造になっています。
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壊されない安心感
裏側の計算式をユーザーが触ることはないため、誤削除のリスクがゼロになります。 -
誰でも直せる標準化
複雑なコードではなく標準機能で設定するため、担当者が変わっても引き継ぎが容易です。 -
スマホで完結
重たいExcelを開くために帰社する必要はありません。出先からスマホで在庫確認や日報入力が可能です。
まとめ:業務の「断捨離」と「民主化」
ExcelからAppSheetへの移行は、単なるツール変更ではありません。特定の職人だけが握っていた情報をチーム全員に開放する「業務の民主化」です。
私たちセイユーネットワークシステムは、「今のExcelと同じものを作って」と言われても、そのまま作ることはしません。「この計算は本当に必要か?」と問い直し、職人のこだわりを削ぎ落として、筋肉質な業務フローに再構築します。「ツールを入れる前に、業務を断捨離する」。ここまでやって初めて、本当のDX(デジタルトランスフォーメーション)が実現するのです。
このテーマを、音声でもっと深く!
「データとロジックを切り離す」という発想の転換や、実際の移行事例について、ポッドキャストで詳しくお話ししています。Excel業務の限界を感じている方は、ぜひヒントを見つけてください。
#5「神エクセル」が会社を脅かす? 〜職人芸からの脱却と、AppSheetという選択〜
- 「集計_最新_v3_マクロ有効.xlsm」の恐怖
- Excelは悪くない。使い方が間違っているだけ
- Aさんだけの仕事を、みんなの仕事にする「業務の民主化」

